機関誌ふくろう便第39号 「労働者差別を打ち破る運動を!」東京統一管理職ユニオン 執行委員長 大野隆

機関誌ふくろう便第39号より転載。

東京統一管理職ユニオン 執行委員長 大野隆



◆安倍政権が示した「同一労働同一賃金 ガイドライン」は、全く新味がない

 昨年12月16日、同一労働同一賃金の実 現に向けた検討会から中間報告が出され、12月20日には働き方改革実現会議から「同一労働同一賃金ガイドライン案」が公表された。以下雇用共同アクションのコメントの要点を紹介しながら、私たちの態度を明らかにする。


(1)中間報告について

 中間報告は、当面は同一企業内で比較する、ガイドラインの位置付けは「現時点では効力を発生させるものではない」等として、最初からまともな方策を提起しようとしない態度をあらわにした。

 そもそも、何が同一労働なのかについて検討しようともしていない。同一労働でなければ現状の格差の放置が許されるのか否かは重要なポイントだ。国際基準に基づき、職務の価値評価による均等比例という視点が必要だが、それがないので、 形式的に違った職務を割り当てて(職務分離で)ガイドラインを骨抜きにする動きが蔓延するだけだ。 また派遣労働者については、派遣先の労働者との比較が必要なのに、それをせず、派遣労働者を除外したかのようである。

 しかし、そもそも派遣労働法大改悪と合わせて同一労働同一賃金推進法が成立し、3年以内に法制上の措置を含む必要な措置を講じるとされたことからすると、派遣労働を後回しにすることは大問題である。


(2)ガイドライン案について

  ここでも肝心の仕事が「同一労働」であるか否かを判断する「職務評価」についての言及はない。
基本給について、「職業経験・能力」「業績・成果」「勤続年数」を要素にあげ、個々人の評価が同一かどうかを判断するとしているのだが、結局これは人事考課の問題だ。

 「賞与」に関しても同様で、会社業績への貢献が同じなら同一に、一定の違いがある場合はその相違に応じた支給しなければならないとある。しかしその「違い」を如何に計るのかについては、何の判断基準も示されていない。 役職手当、時間外手当・深夜休日手当、通勤手当などは同一に、福利厚生施設(食堂、休憩室、更衣室)の利用を認めること、慶弔休暇や健康診断 伴う勤務免除・有給保障、病気休職も同一に、などの項目は、実現すれば現状が改善されよう。ただ、これらはすでに労働契約法20条、パート法8、9条に書かれたことを繰り返しているに過ぎない。

 現状では、それを実現するのに裁判で争わなければならないが、このガイドラインでは、そのような状況を変えることは難しいだろう。 また、示されている事例も非常に分かりづらいし疑問点も多い。
「問題にならない例②」は典型的だ。総合職のXは新卒後の数年間、店舗においてパートのYのアドバイスを受けながらYと同様の定型的な仕事に従事しているが、会社はXの職業経験・能力に関係なくYに比べ高額の基本給を支給しているという例は、問題がないと言っているのである。まさにコースと別管理の典型であるが、これが認められるのである。


(3)挙証責任の転換が決定的だが、それは行なわれない

 現状では、労働契約法20条に基づいて「非正規も平等に扱え」と訴えるとき、差別が合理的ではないことを証明すべきなのは、訴える労働者側である。それは実際には極めて困難だ。

 このガイドライン策定に中心となって 関わった水町勇一郎教授は、逆に「使用者が 差別が合理的であることを証明しなければ、不平等は許さない」こととすべきで、そのように挙証責任を転換することを実現する、と言っていたが、それは全く反映されていない。 これが根本問題である。


(4)それでも差別是正の足掛かりにしよう

 ガイドラインは肝心の労働の対価である「基本給」部分は置き去りにし、格差是正というよりも格差を説明できるような仕組みを整えるよう使用者に促すガイドラインとなっている。

 これではパート法8条や労働契約法20条の効力を狭めるものになりかねない。それでも、ガイドラインは「手当等の差別はダメだ」とは言っているので、それを足掛かりにして、差別是正を要求し、運動でそれを実現しよう。今年の春闘は、その差別是正を大きなテーマにすべきである。

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